「仙台市の酒文化を体感するガストロノミーツアー」2日目レポート(後半)
こんにちは!KURAFT編集部のOです。
「仙台出張レポート」2日目・前半編では、秋保の朝食ビュッフェや秋保大滝、そしてニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所の見学の様子をお届けしました。
最後まで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。
(まだの方は、こちら[2日目前半編]からご覧ください!)
そして今回は――いよいよ本当に最終回です!
見学の続きである「試飲体験」からスタート。

ここでは、5種類のウイスキーを試飲します。
ラインナップは、シングルモルト宮城峡、シングルモルト余市、竹鶴ピュアモルト、カフェグレーン、そしてスーパーニッカ。
普段は味の違いがあまりわからない私ですが、今回はしっかり説明を聞いた後とあって、少し自信が湧いてきます。
ブレンダーの方の仕草を見よう見まねで、そっとグラスを傾けてみました。
まずは「シングルモルト宮城峡」から。
こちらは、もともとバーボン樽やシェリー樽として使われていた樽で熟成させたウイスキーです。
ひと口含むと、甘くフルーティーな香りとともに、やわらかなバニラの風味が口いっぱいに広がります。
(このときはストレートでいただきましたが、後日お土産として購入したボトルでハイボールを作ってみると、香りがふわっと立ち、ハイボールにしてもとても美味しかったです。)
続いては「シングルモルト余市」。
こちらは北海道・余市蒸溜所でつくられた一本です。
先ほど学んだポットスチルの形状の違いや、ピートの特徴を思い出しながら、宮城峡との違いを楽しみに味わいます。
ひと口含むと、スモーキーでほんのり苦みを感じる、大人の味わい。
同じウイスキーでも、ここまで印象が変わるとは驚きです。
ナッツやチーズなど、香ばしいおつまみと合わせてゆっくり楽しみたくなるような味でした。
次に「竹鶴ピュアモルト」。
こちらは、竹鶴政孝氏の名を冠したウイスキーで、余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所のモルト原酒をブレンドしてつくられたピュアモルトウイスキーです。
まさに余市と宮城峡、両方の魅力をあわせ持つ一本。
口当たりはやわらかく飲みやすく、バニラのような甘さの奥に、ほんのりスモーキーな香りが感じられます。
過去に世界最高賞を受賞したというのも納得の味わいでした。
次は「カフェグレーン」。
こちらは、これまでのウイスキーとはまったくの別物です。
原材料は大麦ではなくトウモロコシ。
さらに、単式蒸溜器(ポットスチル)ではなく、世界でも稀少な“カフェ式連続式蒸溜機”でつくられたウイスキーです。
ひと口含むと、雑味のないやさしい甘さが広がり、アルコール感も控えめでとても飲みやすい印象。
デザートのように、食後にゆっくり味わいたくなるウイスキーでした。
最後に「スーパーニッカ」。
こちらは、竹鶴政孝氏が亡き最愛の妻・リタに捧げたウイスキーだそうです。
そのエピソードを知ると、グラスを手に取る瞬間から少し特別な気持ちになります。
ボトルのフォルムにも、優雅さと温かみを感じます。
これまで味わってきた、華やかなモルトウイスキー、スモーキーで力強いモルトウイスキー、そしてカフェグレーン——
そのすべてを調和させたのが、このスーパーニッカです。
バランスの取れたまろやかな味わいで、とても飲みやすく、心に残る一杯でした。
意識して飲んでみると、同じウイスキーでも香りや味わいがこんなにも違うことに驚かされました。
まるで新しい世界が広がったような気がします。
ニッカウイスキーの歴史や知恵、そしてこだわりに触れ、今回のツアーはここで終了です。
帰りのバスに乗り込むと、行きと同じ道なのに景色の見え方が少し違って感じられました。
自然豊かな山あいの風景から、次第に都会の街並みへ。
仙台駅が近づくにつれ、ふと現実に戻ったような感覚がありました。
■仙台駅から東京へ
仙台駅でツアー参加者の皆さんとお別れし、両手いっぱいのお土産を抱えて新幹線に乗り込みます。
Hさんが「車内で食べよう」と牛タン弁当をご馳走してくださいました。
青葉亭のできたてのお弁当は、香ばしい香りとやわらかな食感がたまらなく美味しかったです。
行きは「はやぶさ」であっという間に到着し、遠出をした感覚があまりなかったのですが、帰りは「やまびこ」。
少しゆったりとしたスピードで進む車窓を眺めながら、旅の余韻に浸りつつ東京へ向かいました。
車内ではHさんと今回の思い出を語り合っていましたが、いつの間にか眠ってしまい、目を覚ますと、もう東京駅。
名残惜しさを胸に、私の初めての地方出張が幕を閉じました。

■おわりに
今回、私にとって初めての地方出張でした。
実際に現地へ足を運び、生産者の方々から直接お話を伺えたことは、とても貴重な経験となりました。
以前、仙台には観光で一度訪れたことがありましたが、そのときは駅周辺を歩き、牛タンを食べただけ。
“都会的な街”という印象でした。
しかし、今回は少し足を延ばして地域の方々とふれあう中で、土地の空気や人の温かさを肌で感じ、「その土地を理解する」ということの奥深さを実感しました。
1日目は、土地の魅力を発信しようと挑戦する人々と、それを温かく支える風土に触れ、
2日目は、歴史ある工場で自然への敬意と伝統、そして“多様性”の大切さを学びました。
どちらにも共通していたのは、「おいしいものを届けたい」というまっすぐな想いと、地域への感謝の気持ちです。
印象的だったのは、秋保で出会った多くの方々が、もともと秋保の出身ではなかったこと。
皆さん、秋保という土地や人の魅力に惹かれ、「この場所をもっと伝えたい」と思うようになったそうです。
私自身は東京出身ですが、“地方創生への想い”があれば、どこにいても地域に関わることはできるのだと感じました。
そして今回、経験豊富なHさんとご一緒できたことも、とても勉強になりました。
取材中の立ち振る舞いや話の聞き方、相手との距離の取り方など、どの場面を見ても自然で、周囲への気配りが行き届いていて、本当に素敵だなと感じました。
後日のフォローややり取りも丁寧で、ひとつひとつの対応から「信頼される人の仕事の仕方」を学ばせていただいた気がします。
普段はとてもお忙しい方なのに、現場では終始穏やかで、こちらが緊張していても自然とリラックスさせてくれるような空気をつくってくださって。
つい安心して、いろんな話をしてしまいました。
同じチームとしてご一緒できたことが嬉しくて、そして、自分ももっと成長したいという気持ちが強くなりました。
今回の出張で得た経験と学びを糧に、これからも一歩ずつ成長していけたらと思います。